セルバランス回路付きリチウムイオン電池保護回路基板を試す

以前の記事で18650電池を専用ホルダーに入れ3直列にした状態で充放電する実験を行った。

今回はAliExpressで購入の格安スポット溶接機で18650電池回りの配線を行うと共に、セルバランス回路付きの保護回路の動作を確認してみる。

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セルバランス付き保護回路基板

今回はAliExpressの下記ページから購入出来るセルバランス回路付き3直列用リチウムイオン電池保護回路基板を使う。

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上記商品ページにあるセルバランス付き保護回路の説明によると「充電時に4.2Vに先に到達したセルは、他のセルが4.2Vに到達する迄の間放電される」と書いてあり、また「あくまで補助的な動作」とも書いてある。基板の回路図が無いので具体的にどんな回路が働いてこのような動作になるのかは不明だが、とりあえず実験して試すことにする。

スポット溶接でバッテリーと保護回路基板を配線

以前の記事で取り上げたAliExpress購入のスポット溶接機を使って、保護回路付きの組電池の配線をする。

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当初は保護回路基板をハンダ付けで配線しようと思っていたのだが、保護回路基板から出ているバッテリ端子にはハンダが乗らなかったので基板にニッケルタブを直接溶接した。

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18650電池にもニッケルタブを溶接して組電池に仕上げる。

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充電してセルバランス回路の動作を確認

以前の実験と同様に安定化電源の電流制限を700mAに設定して充電を行い、ESP32マイコンを使った電流ロガーで記録した。

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3直列組電池の充電曲線は以下のようなグラフとなった。
前半80分は定電流充電で前回実験とほぼ同様の曲線を描いている。100分経過の所で電流が増えているのは、安定化電源の電圧設定を12.3Vから12.5Vに変更したためで、更に150分の所でも12.6Vに上げたため電流が少し上昇している。

充電曲線

マルチメータを当てて単体電池の電圧を手動測定した結果は下の表の通り。いずれの電池も満充電になる前は特にバランス動作をしている兆候は見られなかった。そして140分経過で電池Cが4.20Vに到達し、基板の説明書きの通りにそのまま4.20Vに張り付いてくれることを期待したのだが、更に上昇して4.21Vまで上がってしまった。ただ160分以降電池Cは4.21Vに張り付いている一方、電池A,Bの電圧は微増し続けたので一応セルバランス回路は動作していそうには見える。

電池A電池B電池C
充電前3.47V3.49V3.54V
充電開始直後3.57V3.59V3.65V
充電中(60分)3.78V3.82V3.89V
充電中(90分)3.94V3.99V4.06V
充電中(110分)4.01V4.06V4.13V
充電中(130分)4.07V4.12V4.19V
充電中(140分)4.08V4.13V4.20V
充電中(150分)4.09V4.14V4.20V
充電中(160分)4.10V4.15V4.21V
充電中(170分)4.11V4.16V4.21V
充電中(180分)4.12V4.17V4.21V
充電中(190分)4.12V4.17V4.21V

約190分経過で充電電流が殆ど流れなくなった。そこで、電圧を少し上げようとしたところ電池Cが4.22Vに上昇…これ以上は電池にダメージを与えそうなので充電を中止した。

放電させて測定

3直列の状態で適当な負荷を接続し放電させながら、単体電池の電圧を測定。上の表の「充電前」と下の表の「放電後」を比較すると、電池A,Bの電圧差は変わっていない一方で電池Cとの電圧差は若干は縮まったようには見える。

電池A電池B電池C
放電中3.66V3.70V3.72V
放電終了時3.41V3.44V3.46V
放電後3.45V3.47V3.49V

まとめ

セルバランス回路付き保護回路基板を使ってリチウムイオン3直列電池を充電してみたものの、効果は期待したほどではなく微妙な感じだった。基板の商品ページにも「あくまで補助的な動作」と断り書きがあった通り、積極的にセル間電圧差をバランスしてくれるような物では無く、充電時に先に満充電になったセルの電流を一部制限する程度の様子。満充電付近の際どい所で動作する感じなので、電池にダメージを与える可能性が心配なところだ。

というわけで、このタイプのセルバランス回路付き保護回路は敢えて使う必要も無いかな、という結論。

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