シャントレギュレータTL431を使えば、抵抗だけで数十mA出力の正電圧レギュレータを簡単に作ることが出来る。しかし、負電圧のレギュレータは抵抗だけでは作れず追加回路が必要だ。LTspice上で回路を組み実験してみた。
TL431を使った簡易正電圧レギュレータ
下の回路で12Vの電源からOutに電圧5V,50mA程度を取り出せる。LTspiceにTL431のモジュールを追加する方法はこの記事を参照。
回路のポイントは、
- R2,R3で出力電圧を調整
- 取り出したい出力電流に応じてR1を調整(小さいほど大電流が取り出せる)
LTspiceの.step解析で負荷RLを100Ω〜100kΩに変化させた時のOutの電圧と負荷電流を調べてみると、概ね5Vが得られている。
TL431を使った負電圧レギュレータ
TL431を使った負電圧レギュレータは抵抗だけでは作れない。そもそもTL431は正電源用に作られているのだから当然なのだが、無理矢理TL431を使って負電源回路を組むとすれば以下のようになる。
注)当初公開した回路に問題があったため、この回路は訂正後の回路です
正電源の時はカソード(C)側から出力を取り出していた一方で、負電源にするには基準電圧源が接続されているアノード(A)側から定電圧出力を取る必要がある。しかしアノード側から電流を取り出すとR1の電流変化でRef端子の基準電位が動いてしまうため、バイポーラトランジスタのエミッタフォロワ回路で出力インピーダンスを下げて定電圧出力を取り出すようにしている。この回路の注意点は以下の通り。
- カソードに1mA以上の電流を流す必要があり(データシート参照)R1の値を適切な値に設定する
- Q1のVbe(約0.6V)による電圧降下を考慮してR2,R3を調整する
- 発振に注意。下手にコンデンサを入れると、かえって発振しやすくなる。
特に発振は厄介で、最初に当記事で公開した、発振防止のつもりでコンデンサを入れた回路が、実は発振しやすい最悪な回路だったという経緯がある。TL431の発振に関しては別記事で検証を行っているので、併せて参考にして欲しい。
負荷を変化させた時の出力電圧をシミュレーションで確認
正電源の時と同様RLを色々変えて.step解析を実行。概ね5Vが得られていることが確認出来る。
まとめ
ツェナーダイオード代わりにTL431は大量にストックしているのだが、負電源を作ろうとするとツェナーダイオードと同じには使えないことが分かり、少し頭をひねって回路を考えてみた。基準電圧源がGNDから浮いた場所に置かれるという気持ち悪い構成なのでプロから怒られそうな回路ではあるが、とりあえず動作するようなので活用しようと思う。
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