ゲート抵抗でパワーMOSFETの故障に備える

パワーMOSFETによる電源スイッチ回路を組んで動かすと、パワーMOSFETが焼ける事故に時々遭遇する。パワーMOSFET自体は大して高価なデバイスではないし焼けた物を取り替えて終わりで良いのだが、厄介なのはパワーMOSFETに巻き添えでマイコンなどを壊してしまう事。

パワーMOSFETの故障が周辺回路を巻き添えにしないためのゲート抵抗について考えてみる。

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そもそもゲート抵抗の役割って何?

パワーMOSFETのゲートに直列に入れるゲート抵抗の役割はリンギングやノイズの抑制のためと言われている。

MOSFETのゲートに直列接続する抵抗について教えてください。 | 東芝デバイス&ストレージ株式会社 | 日本
一般的に、ゲートの抵抗値が小さい場合は、スイッチング時間が短かくなり、リンギング(減衰振動)が起きる可能性があります。ゲートの抵抗値が大きい場合は、スイッチング時間が長くなり、スイッチング損失が増えて発熱します。

しかし、リンギングとかノイズ抑制って趣味の電子工作レベルでも気にした方が良いのだろうか?極論すれば発生する電磁ノイズで困るのは(隣家に到達するような強烈なノイズでない限り)自分の家族ぐらいだし、DC-DCコンバータのような大電流の高速スイッチング回路でなければリンギングも特に気にする必要は無いかなと思う。

ならば、ゲート抵抗なんぞ省略したくもなるのだが、ゲート抵抗無し(0Ω)だとMOSFETが故障した時に問題が起こる。

ゲート抵抗が0Ωだと危ない回路

別記事で取り上げた以下のような回路では、リンギングやノイズ抑制以外に考慮すべき事があったりする。この回路は電源を複数接続した際に電源間で電流が逆流しないようパワーMOSFET M1,M2が直列にBack-to-Back接続されている。R2の100ΩがM1,M2のゲート抵抗、R3がM3のゲート抵抗であり、これらは省略しても良さそうにも見えるのだが…

Back-to-Back電源制御回路

ゲート抵抗がフェイルセーフになる

MOSFETが破壊されると全ての端子が短絡状態となる場合が多い。この回路ではM1が壊れてドレイン-ゲート間が短絡されるとR2の片側に10Vが直接印加された状態となり、もしR2が0ΩだったりするとM3のソース-ドレイン間に大電流が流れて連鎖的にM3も破壊され、電源V1からパルス源V2に向かって大電流が流れるという恐ろしい状態になる。

電源制御のパルス源にはマイコンのGPIOを使うことが多いだろうから、電源からマイコンに大電流が流れてしまいマイコンも道連れになってしまう。マイコンを壊さないためにもR2やR3には小さすぎない抵抗値を選ぶべきだろう。

Back-to-Backゲート破壊時

まとめ

元々パワーMOSFETのゲート抵抗なんて不要と思っていたのだが、MOSFETと道連れに何度かマイコンを昇天させてしまった経験から、ゲート抵抗はフェイルセーフのために必要との考えに変わって今では必ず取り付けるようにしている。

ただゲート抵抗を無駄に大きくするとMOSFETの立ち上がり時間が延びてしまうので、そこも考慮に入れつつ適切なゲート抵抗値を選ぶ方が良い。個人的な感覚だが、100Ω〜1kΩあたりが妥当な線ではないかと思う。

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