プリント基板をクエン酸でエッチングする

手作りプリント基板のエッチングは大昔にサンハヤトのキットを使ってやってみた事があるが、
エッチング液の塩化第二鉄が服に付くと取れない、廃液処理が面倒といったネガティブな思い出が多い。
今でも塩化第二鉄によるエッチングが正統派な方法のようだが、巷ではクエン酸を使った方法も流布している模様。今回はネットの情報を頼りに、クエン酸エッチングでプリント基板を作ってみた。

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エッチングに必要な材料

薬剤や道具は100均やドラッグストアで入手出来る物ばかりだ。薬剤の量はネット情報を頼りに適当に決めたのでベストな分量ではないかもしれない。

  • 銅箔パターンを描いた生基板
  • クエン酸40g
  • オキシドール100cc
  • 食塩5g
  • 除光液
  • チャック袋
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レーザープリンタを使って生基板に銅箔パターンを転写する方法は別記事にまとめてある。

エッチング液を作る

オキシドールを容器に入れ湯煎で40〜50度になるように温めながらにクエン酸と食塩を溶かしていく。

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チャック袋でエッチング実行

チャック袋にエッチング液と基板を投入すると、基板の銅がエッチング液と反応して溶け気泡が出てくる。途中、袋を揺らして反応を促すようにする。

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反応が進むとエッチング液が青みがかった色に変わって行き、10〜20分ほどで気泡が収まってくる。袋ごと基板を光にかざして銅が溶けて無くなった所から光が透けて見えるようになればエッチング完了。基板は袋から取り出して水洗いする。

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除光液で銅箔パターンを落として完成

基板表面を除光液で拭いて、レーザープリンタで作った銅箔パターンを除去していく。

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レーザプリンタの転写がうまく行かずペンで書き足した所にパターンの欠けがあるが致命的ではなく、概ね満足の行く出来だ。

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エッチング液は長期保存出来ない

エッチング液は未だ使えそうなのでオキシドールのプラスチック容器に戻して保管…しようとしたのだが、キャップを閉めたら容器が膨らんできてしまった。恐らくオキシドールが分解して酸素ガスが発生していると思われる。

試しに約1ヶ月保管後に使ってみたが、調合当初よりも銅箔の溶けるスピードが遅く(溶けてるかどうかもよくわからなかった…)、使い物にならない感じだった。調合済みのエッチング液は作り置き出来ないと思ったほうが良いかもしれない。

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使用済みエッチング液の処理

使い終わったエッチング液は毒性の強い銅イオンが含まれており、下水にそのまま流すと環境破壊につながるのでNG。必ず廃液処理をしてから処分する。と言っても、以下の作業を行うだけだ。

  1. 廃液にアルミニウムを投入し溶かす
  2. 析出した銅を濾過する
  3. 濾過後の廃液を下水に、固形物は可燃ゴミとして処分

使用後のエッチング液が銅イオンの鮮やかな青色になっている。この中にアルミニウムを投入すると、気泡が出てアルミニウムが溶けていく。

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アルミニウムは銅よりもイオン化傾向が高いため、アルミニウムが溶ける代わりに銅が析出してくる(中学の理科の実験でやりましたね)。アルミニウムはアルミ缶のプルタブでOK。

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廃液を1ヶ月寝かせてしまったせいか反応の勢いが鈍く、1日放置してもアルミから気泡が出て溶け続けている状態だったので、念の為アルミ投入後2日間放置してから濾過を行った。今回クエン酸を溶かしすぎたのもアルミニウムの反応がだらだら続く原因だったかもしれない。

まとめ

どこでも買える安価な材料でエッチング液を作ることが出来るうえに、塩化第二鉄を使ったエッチングよりも反応時間が早く仕上がりも悪くない。クエン酸エッチングによるプリント基板自作は期待以上と感じた。

CADデータ入稿による基板の工場発注も数ドルで出来る時代だけど、生基板からの基板自作もこんなに簡単に出来るなら全然アリじゃないかと思う。

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